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令和4年6月 所有者不明私道ガイドライン

本年6月に「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会」より、所有者不明私道への対応がガイドライン第2版が発表されました。こちらのガイドラインは、令和3年の民法改正に対応して改定されたものとなります。戸建ての賃貸やアパート・マンションの賃貸をする上で、共有私道が関わる方は押さえておきたいガイドラインの改定ですので確認しておきましょう。

 

共有地(共有私道)は改正前の民法では以下のとおりに整理されていました。

①共有者の一人ができるもの(保存行為)…破損している共有私道補修等

②共有者の持分の過半数でできるもの(管理行為)…共有私道に公共下水管を新設する等

③共有者の全員の同意でできるもの(変更行為)…砂利道をアスファルトに舗装する等に分かれていました。(ここが全員の同意が必要なので、だれか一人でも同意が取れないと話が進まない!)

このうち、これまで変更行為については、全員の同意がなければできなかったために、相続等で所有者が不明で同意が取れないことがありました。また、法律上、どこまでが過半数の合意でできる管理行為なのか、どこまでが全員の合意が必要な変更行為なのかが明らかになっていませんでした。そのことから、事実上、(安全のために)全員の合意を取る運用が取られていたため、共有者全員の合意が取れずに、共有私道の利用が円滑に進まないという問題がありました。

そこで、今回の法改正に伴い、変更行為を軽微なものと軽微以外のものの2つに分け、軽微な変更行為については過半数で決することができるとした上で、今回のガイドラインで軽微な変更の具体例が挙げられました。

【これまで】

変更行為は共有者全員の合意

(令和541日施行後)

変更行為は、軽微なものは過半数で、軽微以外はいままでどおり全員の同意で。

具体的に、これまでは全員の合意が必要だったものの、改正法施行後は「軽微な変更」として共有者の過半数(言い換えれば一部の賛成が得られない場合でも)対応できるとガイドラインに記載されているものとして、たとえば、以下の2事例が挙げられます。

・舗装の新設(事例5)・・・砂利道の共有私道をアスファルト舗装する

・樹木の伐採(事例34)・・・共有私道の樹木をすべて伐採する

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